October 11, 2005

[読書]コンピュータはむずかしすぎて使えない!

Posted at October 11, 2005 12:41 PM in アホの子だけど読んだ本を紹介しちゃうぞ .

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 ソフトウェア開発におけるデザインの重要性について述べた本。著者のアラン・クーパーはMicrosoftでVisual Basicを作った人。今ではMicrosoftを辞めて自分の会社をやっている。

 まず、コンピュータが使いにくいという話から始まる。使いにくいコンピュータの例を一頻り挙げた後で、それらが何故使いにくいのかを「知覚的なずれ」という言葉で説明する。「知覚的なずれ」とは何なのか、一言では説明しづらいが、ソフトウェアの操作と、それによって為される処理との間にある感覚的な乖離の度合い、といったところだろうか。「知覚的なずれ」の小さい例として、クーパーはタイプライターを挙げる。Aのキーを押せば紙にAが印字されるし、Bのキーを押せば紙にBが印字される。ユーザの操作(キーを押す)と機械の振る舞い(押されたキーを印字する)は完全に一対一で対応していて、感覚的な乖離は小さい。押されたキーに描かれている文字が印字されるというのは、ユーザにとって、まったく感覚的に受け入れやすい動作だ。初めてタイプライターを見た子供にだって直ぐに分かるだろう。それに対して、現在のコンピュータで使われるようなソフトウェアはそうではない、というわけ。現在的なソフトウェアは複雑な機能の塊で、どうしても「知覚的なずれ」は大きくならざるを得ない。それを踏まえた上で、できるだけユーザにとって使いやすいソフトウェアを作るにはどうしたら良いのでしょう、というのが本書の問題意識だ。

 続いて、クーパーはソフトウェア開発の現状を概観し、なぜ使いにくいソフトウェアが出来てしまうのかを説明する。彼の主張を端的にまとめると、要するに、「プログラマ(ソフトウェア開発者たち)が好き勝手にデザインをやっているのが悪い」ということになる。プログラマはとにかく機能を詰め込んでしまう傾向があるし、自分自身が上級者であるが故に上級者向けのデザインをしてしまいがちだ。それに、プログラマはコンピュータと同化しすぎているので、「知覚的なずれ」に鈍感になってしまっている。そうして出来上がってきたソフトウェアは、結果的に、ごく普通のユーザに取って使いにくいものになってしまっている。そこでソフトウェアデザインが必要になる。

 それで、クーパーは具体的な方法として次の2点を提案している。

  1. 最初にデザインをしてから開発に取りかかる
  2. そのソフトウェアの典型的なユーザ(ペルソナ)を想定した上でデザインする

 1.については、当たり前のことを言っているなという感じもする。いきなりプロトタイプを作り始めるのは止めましょう。ちゃんとデザインを固めた上で、プログラミングに着手するようにしましょう。そういうこと。

 2.が本書のキモになる部分。ソフトウェアをデザインするに当たっては、そのソフトウェアをどのようなユーザが使うのかということを想定し、彼らのプロフィールを作る。名前や年齢に始まって、職業や、そのソフトウェアをどういう目的で使うかなど、詳細なプロフィールを設定する。彼らを「ペルソナ」と呼ぶ。そして、ペルソナたちがソフトウェアにどんな要求を持つかということを分析し、ソフトウェアのデザインを決めていく。

 

 で、ここからは僕の感想。ペルソナを想定した上でデザインするというのは面白い。ソフトウェアに搭載する機能を絞り込んでいく方法としてはとても良いと思う。ただ、ニッチなソフトウェアを作るときには有用だろうが、たとえばMicrosoft Officeのような世界中のあらゆる層をユーザとするようなソフトウェアを作ろうとするときにも有用なのかは分からない。Microsoft Officeにペルソナを設定しようとしたら何百人ものプロフィールが必要になるのでは。ペルソナを使うというのは、「他のユーザのことはどうでも良いから、あるユーザにとって100点となるソフトウェアを作ろう」ということなのだと思う。



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