September 13, 2005

『インターネットマガジン』今月号の松岡正剛のインタビューがすごい

Posted at September 13, 2005 07:30 AM in .

 『インターネットマガジン』今月号に松岡正剛のインタビューが載っていて、その中で情報検索について触れた部分があるのですが、これが非常にすばらしい。何ですかね、どうしてこのおっさんは60をもう越えているというのに理科系の研究者というわけでもないのに情報検索という若々しい技術分野に対してこれだけ鋭い言葉を吐けるんでしょうか。とっても不思議です。編集ということをずっと突き詰めてきた人が、その切り口から発言しているからでしょうか。それにしても氏の発言には、いま情報検索の分野で仕事をしている研究者・技術者たちの問題意識の根底に通ずるものが含まれているように思われます。いや、面白いな。基本的に文化系にバックグラウンドを持っているんだと思うんだけどな、この人。仏文科卒だし。でもGETAとか知ってるからなあ。どうして知ってるんだろ。まあいいや。氏のインタビューの中から、もっとも惹かれた部分を勝手に引用して御紹介します。ちょっと長いけど。読んでみて「これは!」と思ったら、本屋に出掛けて『インターネットマガジン』今月号を立ち読みするなり買うなりしてくださいな。

 

 結論からいえば、編集なき検索は検索ではないと思っています。編集検索にならなければだめです。検索と編集がどう折り合いを付けるかというと、技術開発やアルゴリズムでやっていく場合と、ビジュアライゼーションだけで、インタフェースを面白くしたり編集的な感覚が出来たり、非常に素早い物になったりする場合があると思います。

 一般に、編集というと手間を掛けているという印象があるようだけれど、僕がいってるエディティングは違います。たとえば、突然「ニューヨークに行きました?」といわれたとき、その瞬間にニューヨークのあれこれが頭の中に浮かびますね。「ええ、ちょっと住んでたこともあります」「どちらに住まれていたんですか」といったやりとりのうちに、それまでまったくニューヨークというボタンは開いていなかったのに、瞬間的にスポットライトが当たって次の文脈を想定するようになります。3つ4つの質問を交わした瞬間から、記憶データベースの側も編集の方へ起動を始めているし、自分の意志も探りたいものに対しての編集検索の起動を始めています。両側で同時に何かが始まっているときに、編集と編集がかけ算になっているというのが僕の理想で、人間はそうしています。

 現在の検索では、これがばらばらに提供されている。まず、たくさんのデータを格納したアーカイブを作ってそこにエンジンを付け、ピンポイントで高速にマッチングをする。マッチング速度を上げるために、レイヤーを付けたりツリーライクにしたりして、データベース側に検索しやすい工夫をする。しかしブラウザ側では、ソフトアイで俯瞰してそれから急激にフォーカスを絞るようなことは出来ていません。探索機はいつもピンポイントの穿孔性を持っていて、アーカイブ側に色々な構造で作ることでうまく入ったように見せかけています。そうではなく、探索機もアーカイブも検索機能が半分編集的になっていって、これが紙合わさって独自の発見ができるようになることが理想です。一方だけを完成させないで、両方で半分ずつ持ち寄らせて出会うことが、ヒューリスティックであり、人間の感動とか創造性に近いものだろうと思っています。

 

 いくらパターンマッチングが高度に出来るようになっても、人間的な検索をした感じにはならないでしょう。なぜなら、我々は思い違いとか、期待しないで行って予期せぬものに出会うとか、そういうものが混じって日常生活の検索をしているわけです。パターンマッチングは絶対に必要だけれど、高度になればなるほど、人間の感情とか間違いの余地を無くしていくので、シチュエーショナルなコンテキストを失っていくのです。だから、それ以外の何かを入れておかなければいけないと思います。パターンマッチングでメインの検索目標がピックアップされた周りに、夾雑物としてのサブな情報を残すようなことが出来れば可能かも知れません。


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