April 09, 2004

益田学長 in 入学式

Posted at April 9, 2004 03:10 PM in .

 水曜日に入学式があり、ついに春休みが終わってしまった。行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。ほんとうに時の流れって残酷なものですね。出来の悪い卒論を尾内先生に提出したのがつい昨日のようです。したいこと、すべきことは山のようにあるのに、毎日ぐうたらするばかりでほとんど何も出来ずに終わるのは毎回のこと也。

 で、入学式。形式的などうでもいい式典で、僕は配られた各種書類やら『日経バイト』を読んで暇を潰していたんだが、今年から学長に就任した益田先生の演説はわりとちゃんと聴いた。我が母校の新しいトップに興味があったし、学長は東大の理学部長だの情報処理学会の会長だのを歴任されたとても実績のある方なので、このひとがどんなことを言うのか楽しみだったのだ。聞いてみるとなかなか面白かった。電気通信大学の将来への展望みたいなことを語ったのだが、とりわけそれが興味深かった。
 益田学長が演説の中で何度も繰り返したのが、「国際的に通用する研究水準を」という趣旨の言葉だった。「独立法人化を機に」とも言った。「これから研究大学と教育大学への分化が進むという議論はあまり聞かれなくなってきましたが」とも言った。他にもいろいろ言った。それらから益田学長の現状認識を拝察するに、それは以下のようなものではないかとおもう。

 電気通信大には「学園だより」という学内誌があるのだが、数年前、当時おおきな話題になっていた国立大の独立行政法人化についてこんな記事が載った。書き手は名前は覚えてないけど事務方の偉いひとだった(たぶん)。氏によると、きたる独立行政法人化に向けて、これから電気通信大がどうあるべきか、どのような方向を目指していくべきかについて、どこかのシンクタンクにサーベイを依頼したそうだ。そして、提出されたレポート曰く、「社会的には、中堅技術者を養成する教育機関として期待されている」とのこと。まあ、妥当な結論といえるだろう。僕個人の意見としても、客観的に正しい評価だと思う。「やっぱこういう結論になるよね〜。でも、教授たちはこの大学を研究大学として成り立たせてゆきたいと考えていて、それと世間的な評価との間にギャップがあるんだよねー、これからどうなるんだろうねっ♪」ってな感じでその文章は締められていた。読んだのがかなり前なのでかなり記憶も朧気だが、大筋としてはこんな感じだったとおもふ。

 学長の仰るとおり、全国の国公私立大学を研究活動&研究者育成を担当する「研究大学」と、非研究者(技術者事務営業その他)育成&教養教育を担当する「教育大学」に分けて行こうという議論は数年前からある(これについては、自民党の「高等教育研究グループ」なるところから報告書が出ている。興味があれば"提言 これからの国立大学の在り方について"でgoogleってみてほしい。また、範囲を情報分野に限定したものとしては、"e-Japan 重点計画"がある)。COEはその布石だなんて言われている。これから実際に研究大学と教育大学への分化が進められるのだとしたら、現状、電気通信大は「教育大学」に入る公算が高いとおもわれる。工学部を評価する指標としては、科研費、論文誌への掲載実績、COE、外部資金、TLOの実績、etcが考えられるが、電気通信大はこれらのいずれにおいても十分な実績を残していない。

 研究大学になれないとどうなるのか。以下はいい加減な推測だが、まず第一に教員数が大きく削減される。今までは研究と教育をやっていたのが、それからは教育だけをやればよくなるのだから。その際、研究能力や実績のある教員は研究大学に引っ張られる。電気通信大で言うなら、三木先生や竹内先生のような人たち。彼らが東大や東工大へ流出していくと、大学としての研究能力はかなりの打撃を受けるはず。また、予算も削減される。研究費の名目で予算を獲得しずらくなるだろうし、大学院にお金が降りてこなくなりそう。研究設備への高価な投資もできなくなるのではないか。また、トップクラスの頭脳を持つ若者は研究大学を指向するだろうから、学生のクオリティも相対的に低下するのではないか。そうなると排出する人材のレベルも下がり、産業界からの評価が打撃を受けることになるんじゃないか。……とまあ、マイナスの影響が大きいであろうことが想像できる。

 乱雑にまとめると。
 ・これからの数年間で、研究大学と教育大学への振り分けが行われる(……のだろうか? まぁ、行われるとして、)
 ・それと同時に、独立行政法人化によって、各大学の裁量が拡大する
 ・なんとかして研究大学のカテゴリに入りたい
 ・しかし、現状では厳しいと言わざるを得ない
 ・よって、これからの数年間が勝負になる
 ・この猶予期間にクオリティを高め、研究大学として認められるようになりたい
 と、益田学長の認識はこのようなものではないかと僕は考える。学長は演説の中で、大学院への入学者を増やすこと、特に博士課程の人数を増やすこと……あと何だっけ。忘れた。まあとにかくいくつかの施策について話しておられた。いろいろと考えておられるようだ。学長の抱いておられる危機感はおおむね正しいと思う。


 僕は少なくとも人並みには母校への愛着を持っているつもりであるし、電気通信大学がより素晴らしい大学になっていって呉れるととっても嬉しい。
 益田学長には大いに頑張っていただきたい。応援しております。



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