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日経コンピュータ今月号の特集は「IT関連学会の憂鬱」である。面白そうなテーマなので生協で立ち読みしてきた。その内容をざっとまとめておく。
「学会と産業界の隔絶がますます深まってますけど、これは良くないことだからもうちょっと何とかなりませんかねえ」というのが記事全体を通じての問題意識。記事中で取り上げられている具体的な問題点としては、以下のようなものがある。
1.産業界の研究者・技術者が学会から距離をおくようになっている
2.学会では基礎研究ばかりやっているが、これは社会(≒産業界)の要請と乖離している
3.小規模な学会が林立する状況である。
4.そもそも発表される論文のレベルが低い
1.について。情報処理学会では、産業界の会員が、10年間で3割減った。産業界からの会員が減少することにより、アカデミックと産業界の交流の場としての価値を失いつつある。
3.について。いま国内にはコンピュータサイエンスを部分的にでも扱う学会が50くらいあり、過半数は会員数が千人に満たない小規模な学会である。研究者が小さなコミュニティに分かれてしまい、たこつぼ化している。
4.について。海外の主要な学会では、論文の採択率は2割程度。それに対して国内の学会では5割程度。自ずから採録される論文のレベルは低くなる。また、論文の数が博士号取得の際のノルマとなっているのも良くない。
手厳しい内容ではあるが、十分に客観的であるし、情報処理学会会長のインタビューを載せるなど、バランスも取れている。ただ、学会の側からは、やはり反論があるだろうと思う。特に2.については、「基礎研究重視で何がわるい」と反発を感じる人が多そうだ。4.についても、IEEE等の世界トップクラスの学会と比べたら、国内の学会が見劣りしてしまうのはやむを得ないことで、それを理由にして、だから国内学会は駄目だ、と言ってしまうのは少し厳しいと感じる。
全体としては、良い記事と言えると思う。興味があるなら是非読んでおくべき記事である。また、記事中では主に情報処理学会を俎上に上げているが、あくまでもコンピュータサイエンスの学会が共通して抱える諸々の構造について問題にしており、情報処理学会そのものを名指しで批判しているという印象は受けない。
国内の学会との対比として、IEEEについても書いてあるのだが、これが面白い。学会の偉い人が「学会運営はビジネス」と言い切ってしまうというのはちょっと吃驚した。

