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Microsoftのやってるプロジェクト『MyLifeBits』に関する論文。MyLifeBitsについてはITMediaのこの記事なんかを参照すると、だいたいのところが掴めるとおもう。
MSの「MyLifeBits」は何から何まで記録する
http://www.itmedia.co.jp/news/0304/21/cead_coursey.html
ストレージの大容量化に伴って、人間の一生をまるごとハードディスクの中に溜め込めるようになりました。そこでそのためのデバイスやアプリケーションを作っていきましょう、というのがMyLifeBitsの骨子で、プロジェクトのリーダーであるGordon Bellというひとが自ら実験台となり、日々の記録を蓄積している。
We have used Gordon Bell’s life for an experimental corpus. Everything possible from his past has been digitized, including: articles, books, cards, CDs, letters, memos, music, papers, photos, posters, paintings, presentations, home movies, videotaped lectures, and voice recordings. These are combined with media from his PC such as digital photos, email, and calendar events.
日常生活の中で関わったものを、デジタル化可能ならばなんでも保存してしまおうという、非常に徹底したアプローチで、上の一節を読んでぼくなどはちょっと吃驚してしまった。読んだ本や聞いたCDは良いとして、電話の内容や手紙までを保存の対象としてしまうことには、ぼくなら抵抗を感じるからだ。データをため込んだPCをhackされて誰かにデータを盗まれたらどうするのかとか、Gordon Bellは心配じゃないんだろうか。上に挙げたITMediaの記事では、「プライバシなんて知ったことか」的な発言をしているが、彼くらいの情熱に駆られると、そんなことは気にもならなくなるのかなあ。
それにしてもこのシステムは非常にスケールがでかい。日常生活を記録していくためのカメラやマイクといったウェアラブルなデバイスを作らなくちゃならないし、膨大なデータを管理するためのデータベース技術が必要になるし、文章画像音声動画と異なるメディアを統合的に扱うための検索技術だって必要だ。それだけじゃない。データを守るためのセキュリティは? 軽快で使いやすいユーザ・インターフェースは? ブラウザやEPGとの連携は? ……挙げていくと切りがない。論文中にはシステムの概要図が示されているのだが、なんとも壮大で、Microsoftの潤沢な人的・経済的なリソースがあってこそのプロジェクトだという感じがする。
また、論文のなかに次の一節がある。
The MyLifeBits system supports capture, storage, retrieval, reporting, annotation, and story creation.
MyLifeBitsが、単純にありとあらゆるデータを溜め込むだけのシステムではなく、そこから先の、検索や注釈付けまでを含んだものであることが述べられている。"story creation"ってのが何なのかが気になるが、論文中ではこれ以上触れられていない。storyっていったい何だ。絵本仕立ての物語でも作ってくれるんだろうか。
実際、日常の膨大なデータをデジタル化し、巨大なストレージに溜め込んでいくことは、このシステムのほんの入り口に過ぎない。溜め込んだデータを適切にインデクシングし、ユーザがそれを活用していくことに本質があるのだとおもう。話はやや逸れるがぼくの研究室にこのMyLifeBitsにやや通ずる研究をしている先輩氏がいるのだが、氏のやろうとしていることにしても、データを蓄積することはあまり重要でないというか、わりと些末的な事項なのであって、蓄積したデータをどうやって後から活用できるようにしていくかが研究の要になるんじゃないかと思うんだが氏はいまいちそのあたりを認識していないような気がしてちょっともったいないなとおもう。まあそれはいいとして。
切りの良いところでエントリを分ける(続く)。

